結論

【事実】 特定荷主に指定された事業者は、中長期計画を作成し、システム上で荷主事業所管大臣へ提出する必要があります。2026年度に限る初回提出の期限は10月末日で、通常の指定年度の7月末日から延長されています。1 2

【実務上の解釈】 期限対応を単なる書類作成にとどめず、指定通知、物流改善施策、電子申請の設定を同時に点検することが重要です。とりわけ、提出先の選択誤りや差戻しへの未対応は、内容が整っていても手続を滞らせる要因になり得ます。

ニュースの要点

【事実】 経済産業省は2026年8月18日開催分として、物流効率化法の施行状況、中長期計画の記載例、システム上での提出方法を扱う説明会資料と録画を公開しました。1 資料では、計画期間は最長5年間であり、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の3領域について、特に課題のある運行に重点を置き、取引先との協議、技術導入、施設整備を含めて具体化する考え方が示されています。2

また、製造業、卸売業、小売業、連鎖化事業者ごとに、取組が進んでいる企業向けと、これから取組を深める企業向けの記載例が用意されています。2

物流・SCM企業への影響

【事実】 物流統括管理者(CLO)には、中長期計画・定期報告等の作成に加え、事業運営方針や管理体制の整備、設備投資・デジタル化・物流標準化に向けた計画の作成・実施・評価、調達・生産・販売・在庫・物流など関係部門間の連携体制構築を統括管理する役割が示されています。2

【実務上の解釈】 計画の根拠は物流部門だけでは完結しません。受発注・需要予測・生産・在庫・配車・荷役の情報を、CLOを含む横断責任者の下でつなぎ、実施年度と担当を伴う施策に翻訳することが、記載の具体性と実行可能性の両方を高めます。

今すぐ確認したい3項目

  1. 指定通知を起点に基本情報を照合する。 特定荷主番号は指定通知に記載された17桁を入力し、初回提出では「計画内容変更」にチェックを入れません。指定区分、法人番号、提出先となる所管省庁・地方支分部局も通知と照合します。2 3

  2. 改善テーマを「措置・内容・時期」に分解する。 取組の措置名だけでなく、具体的な内容や目標、実施予定年度を記載します。「通年」ではなく、西暦など時期が分かる記載が求められます。まず課題の大きい貨物・拠点・運行から優先順位を付ける進め方が実務的です。2 3

  3. e-Gov提出を事前演習する。 原則e-Gov電子申請で、「特定荷主中長期計画書(●●省提出用)」の手続を選択します。複数の所管省庁を選択して提出でき、各区分で6項目以上の取組を記載する場合は、5項目までを入力し、6項目目以降を別添様式で添付します。GビズID登録情報は自動転記されるため内容を確認し、1時間超の入力タイムアウト、初期設定では届かない差戻し通知にも備え、下書き・一時保存・通知設定を行います。3

日本SCM協会の視点

【実務上の解釈】 今回の提出は、物流効率化をSCMの経営管理に組み込むための最初の統合テストと捉えるべきです。記載例をそのまま転記するのではなく、自社の取引条件、出荷波動、拠点運営、運送・荷役の実態と結び付けることで、計画を翌年度以降の実行管理に使える基盤にできます。中長期計画と別途必要となる定期報告を見据え、データの定義、収集責任、承認経路を今から固定しておくことを、日本SCM協会は推奨します。2

参考資料

  1. 物流効率化に係る説明会・イベント一覧
  2. 物流効率化法の施行状況と中長期計画の記載例等について
  3. 物流効率化法における中長期計画の提出方法について